イマイチな文化交流に終わらないために…その2.
イベント本番の前日、奈良教育大学の構内で吹奏楽部のみなさんとの合同リハーサルがありました。
平日の夕方なので学生と関係者のみで行われたのですが、できれば関西でスティールパンをしている人も、可能なら参加しておいたほうがよかったんじゃないかと思う、音楽に対する姿勢を学べ、肌で感じることのできる、素晴らしいリハーサルとなりました。
We are the worldを通すところから始まったのですが、はじまってすぐに、あ…、わたしのもらった楽譜と違うやん…って思って、内心ひとりでサーッっと青ざめてしまいました。
そしたら、わたしだけじゃなくって吹奏楽部の人たちも違う楽譜で練習していたらしく、①こんな速いテンポで演奏すると思ってなかった、②わたしが持ってるのと同じシンコペーションしないテナーのフレーズで練習していたらしく、
さらに、、、練習がすすむにつれて最悪の瞬間が待ち受けていたのです…!!
転調後のキーが違う!!!
ブラスバンド部の部室が一気にスティールパンと吹奏楽との不協和音で満たされてしまいました…
なに??どうゆうこと???
わたしたちは半音上がったEに転調する予定だったのですが、吹奏楽部の人たちは別の調に転調(もしかしたら転調しない楽譜だったのかも…)する楽譜で練習していたようです。
今日、練習に参加できなかった関西と中部のスティールバンドのメンバーも、翌日の本番には一緒に演奏をする予定になっています。
ふつうだったら、日本人だったら、
①今更変えられない
②本番までの時間がない
③予定外のことはリスクが高すぎるから避けるべき
という共通認識で一致して、そちら側に流れていくと思うんです。
つまり、転調しない、しかもテンポもゆっくりでソカのリズムもない、シンコペーションもない、日本でいつもやってる音楽に、トリニダード・トバゴからわざわざ来たゲストにも合わせてもらう。
でも、今回はそうはいかなかった。プロデューサーでくっついてきた渡辺ようさんがそうはさせなかった。
① せっかく交流してソカっていう彼らのリズムでいっしょに音楽を作ろうとしてるのに!と、吹奏楽部の指導者の方を説得して速いテンポに合わせてもらって、
② 吹奏楽部のメロディを吹いてる学生さんたちと、ミアが叩いてるシンコペーションの強いフレージング(日本人には馴染みがないけど彼らはすべてがシンコペーションしたりアンティシペーションしたりする…それにわたしも毎回現地で振り回され悩まされてる…)を耳コピして譜面を手書きで書き直してもらったり、
③転調部分はイチから、お互いに転調しやすいキーをいろいろ試して探すことに…
もしかしたらこれがほんとの国際交流のあるべき姿なのかもしれません、これがベストじゃないけど、これもひとつの方法だと思うんです。お互いの文化を一方的に学び合うだけじゃなくて、
お互いの違いに気づいて、そこから新しいものを練り直し、完成させるっていう、
そのプロセスが体験できただけでも、お互いの楽譜に相違があったことが逆にラッキーだったんじゃないかとさえ思えました。
トリニダード・トバゴ人は”ラストラップ”って言って、土壇場に強い人たちです。最高の演奏をするために最後の最後の最後まで(笑)変更を加える人たちなので、こんなプロセスは日常茶飯事だったでしょうが、
急にいろんな要求をこなさなければいけなくなった学生さんや、柔軟に変更を受け入れてくださった日本人側の指導者のみなさんには本当に感謝です。
更にもう1曲、銀河鉄道999を吹奏楽部のみなさんがソカのリズムで演奏するっていう趣向にもチャレンジして、素晴らしい仕上がりになりました(動画ないのが残念…)
3時間ほどの短いリハーサルでしたが、磨き上げられた最後の通し練習の様子を動画で↓ご紹介しています。(ジンバルなしで携帯であわててとったので最初のほうだいぶ手ブレしてますが…>_<)
We are the world / UTT PAN PHOENIX+NARA UOE brass band