だけじゃないパノラマその5. そしてスモールバンドファイナル
セミ落ちのあと、
月曜日にまる1日じゅう、じぶんでいろんな知り合いに声をかけて、今から入れる良さそうなバンドがないか聞いてみましたが、
なんとなくピンとこない返事ばかりでした。わたしとしては「ぜひ手伝いに来てください」みたいなウェルカムなバンドを期待していましたが…
その日の夜、バードソングのキャプテンから連絡があって、
「火曜日の6時30分にヤードに集合してください。バードソングから複数のバンドに分かれて練習に参加します。」とのことでした。
このときばかりはバンドに感謝。でも、バンドに連れて行ってくれたのはキャプテンではなくて、いつもの仲良くしてくれた2人のジョバリ、ダブルジョバリくんたちでした。
エクソダス、インヴェーダーズ、シェザンド、ファーシネーターズ…、このあたりに分かれて参加するらしく、
わたしが選んだバンドは水曜日からしか練習がはじまらないので、この日はそのまま家に帰りました。
同じ家に住んでいた、元カリプソシアシオン(フランスの名門バンド)のメンバーはインヴェーダーズに参加することになり、
わたしは次の日からファーシネーターズに通うようになりました。
ファーシネーターズはエルドラドにあるスモールバンドで、
ヨハンパプウェルがアレンジをしていました。
来年、オールスターズに帰りたいわたしは、元オールスターズであるパプウェルがアレンジしているシェザンドかファーシネーターズかを希望していて、どちらでもよかったのだけれど、
スモールバンドのファイナルはミディアムやラージとは別の日で、もちろん1度もそのステージに立ったことはなかったので、あえてスモールバンドを選んでみました。
ファーシネーターズの練習はすごく短くて、夜8時にはじまり10時には終わってしまいます。
ラージバンドやミディアムバンドと掛け持ちしているメンバーが多いので、
10時にはメンバーがクルマに相乗りしてそれぞれの別のバンドの練習に行ってしまいます。
ジュニアバンドが終わる6時から全体練習の始まる8時までの2時間で、セクション練習もないので、ほぼひとりで練習して覚えなければいけない、これはちょっとツラかったです。
でも、必死で覚えました。
もう覚えられないムリ(>_<)ってなってるとき、たぶんファイナルがある週の月曜日に、突然、手伝いに来たメンバー用に楽譜が配られました。バードソングは音楽学校なので、皆、スラスラと楽譜を読んで覚えていきます。わたしも、この楽譜がなかったらほんとにヤバかったと思います。
アレンジャーのパプウェルは、毎日ヤードに来ていました。8時に来て10時に帰る練習時間中ずっと、
パプウェルの授業を受けているようなかんじでした。
ずっと前から知ってるアレンジャーさんだけれど、しばらく見ないあいだにすっかり痩せてしまって、
あきらかになんらかのご病気であることがわかります。
身体も自由に動かせないような病気、パーキンソン病とか、それに似たような病気だと思います。
本人はいたって元気そうにしてたので病名までは聞けませんでしたが、いつもじぶんでクルマを運転してプレイヤーたちを連れてまわっていたのに、今では奥さんが運転して、いつもつきっきりで世話をされていらっしゃいました。
練習中に苦しそうにして、しばらく練習が中断することもありましたが、
いつでも指示は的確で、超コンパクトに2時間でめちゃめちゃ濃い練習が毎日続けられました。
パプウェルのアレンジは、パノラマアレンジの王道を行くかんじです。
今、流行りのストロング系ではなくて、甘く切ないマイナーフレーズから明るいラテンヴァース&コーラスの流れは職人芸とも言えるもので、それはお身体のぐあいがよくない今でもまったく変わることはありませんでした。
それを証拠に、パプルェルがアレンジしたミディアムバンドのシェザンドはファイナルで2位、わたしが参加したファーシネーターズはスモールのファイナルで4位でした。
パプウェルは、ひとりひとりのプレイヤーをとても大切にしています。
そして、スモールバンドなので、ひとりひとり、抜かりなく演奏のミスなどもチェックされてしまいます。
ラージバンド以上の緊張感がスモールにはあって、毎日めっちゃビビりながら練習に参加していましたが、
パプウェルの前に楽器を吊れて、ほんとうによかったなと思います。
もし、もっと体調を悪くされるようなことがあれば、二度とこの瞬間は体験できないのです。
セミファイナル後の水曜日から、スモールのファイナルがある木曜日まで、
たった1週間でしたが、
はじめてパノラマに参加したような、曲を覚えなければいけない切羽詰まった緊張感と、毎日パン漬けの日々を送って、
本番を終えた瞬間の気持ちを、↑の動画では語っています。