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パノラマ練習はZONE体験

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ゆっくり練習をしないバンド 

2017年にオールスターズを一旦おやすみして、他のバンドに参加してみることにしました。その年は合計5つのバンドに参加して、2つのバンドのプレイヤーとしてファイナルで演奏しました。

 

その時に気づいたんですが、トリニダード・トバゴのスティールバンドでも、ラージバンドでは当たり前の、長時間のゆっくり練習をしないバンドもあるようです。

 

今年参加したシングルパンのバンド”アリマオールスターズ”も、練習時間が極めて短く、いきなり速いテンポから始めるんです。スキルのあるプレイヤーたちは、それでもなんなくこなせるのですが、この練習方法では、わたしはついていくのがやっと…、ゆっくりから身体を慣らしていかないと思うようにタイミング良く動きません。

 

トリニダード・トバゴのバンドがぜんぶこの練習方法だったら、わたしはパノラマのプレイヤーをここまで続けることはできなかったと思います。

 

いきなり動かすより少しずつが 身体に効果的

それぞれのバンドでゆっくり練習の方法は違うと思うんですが、オールスターズではとくにアレンジが仕上がるがる前、新しくできたフレーズを、ものすごーくゆっくり、繰り返し繰り返し練習します。1小節をBPM90以下で、30分くらい繰り返すこともあるので、このタイミングでオールスターズの練習を見学に来たら、まったく何をやってるのか検討もつかないくらい。もしかしたら退屈に聴こえるかもしれないんですが、これがすごく重要なんです。精密機械のひとつひとつの部品を、バラバラにして組み立ててるかんじ。ここをしっかりやっておかないと、超高速で演奏したとき崩れてします。

 

他のバンドで目立ってるのが、フェイズ2やデスペラードスなんかがやってる、本番直前のリハーサルで、グルーヴが煮えたぎるぐらい繰り返し繰り返しのゆっくり練習…(オールスターズはコレやらない) バンド全体がメルトダウンしそうな独特のヴァイブスで”一体感”を生み出していきます。エクソダスとかがやってる最小限の音量で1曲を通すのも、同じ原理だと思う。チカラづくじゃなく、腕の動きのぎこちなさをスムーズに均していくための練習になってる。

 

どの方法だったとしても、それぞれのゆっくり練習には、少しずつ、身体を慣らして、力みを無くし、"考えが及ばなくても身体が勝手に動く"ところまで仕上げていく効果があります。

 

この"考えが及ばなくても身体が勝手に動くようになる"のは、スポーツの世界や、最近話題の本『シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法』で取り上げられている"ZONE体験"と同じことだと思うんです。

 

ZONE シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法

ZONE シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法

 

 

パノラマの練習に参加することは、ただ曲を覚えて華やかなステージに立つということだけでなく、この"ZONE体験"をするということなのです。

 

到達した人にしか見えない世界、到達した人にしか感じられない開放感、そして自分が消えて、音とひとつになる一体感。

 

この素晴らしさは、体験してみないとわからない。

 

だから、ゆっくり練習しないバンドに入ったり、事前に楽譜をもらって暗譜してギリギリにトリニ入りしてファイナルに出るとか、

 

カタチだけはパノラマを体験したことになりますが、実際はぜんぜん違うと思います。

 

ゆっくり練習に参加しないのは『ZONE入り』のチャンスを逃すことになる

今のトリニダード・トバゴのプレイヤーたちや指導者も、これが、グーグルが会社をあげて求めている"ゾーン入り"の手段だとは気づいていないと思います。

 

年配のプレイヤーなどの、ゆっくり練習のあとに起こる"魔法の瞬間"を体験したことのある人たちは、その大切さを知っていながらも、時代の流れでそれが消えつつあるのを嘆いてる傾向にあるようにも感じます。

 

時代の変化と共に、バンドそのものが率先してゆっくり練習をしなくなったり、

 

ゆっくり練習の重要さを知らないハイスキルの若いプレイヤーが、自分はできてるからゆっくり練習しなくて大丈夫、ゆっくりはできてないプレイヤーのためだから、という考えで、ゆっくり練習をサボってしまったり!

 

よく日本から来て参加してるプレイヤーで見かけるのですが、自分はまだ覚えてないし、上手じゃないからという理由で全体練習に参加せず、隅っこのほうでひとりで練習してたり…

 

どんな立場や状況であったとしても、ゾーン入りのチャンスを逃すのはもったいなすぎるし、文化の損失になってると思います。

 

もし曲を覚えてなかったら昼間に練習して、夜の全体練習が始まったら、全体練習に参加したほうが上達の早道です。最初は大変かもしれないけど、無我夢中でみんなを追いかけて手を動かしてるだけで、ある瞬間、ZONEに入って目の前で動いてる自分の手が信じられないくらい自由に動くのです。

 

ZONEのことをなんとなくわかってるプレイヤーは、めっちゃめっちゃハイスキルのプレイヤーでもゆっくり練習を丁寧にこなしています。

 

わたしも、これはひとつの動く瞑想だと思って、ゆっくり練習は必ず参加しています。これがないと、オールスターズのスピードについていける身体にならないんです。わたしにとっては、とっても大切。

 

バンドも、ゆっくり練習をしてるバンドの滑らかさや一体感は、他の一般的なバンドとは比べものになりません。

 

パノラマ練習は”ZONE体験”、ゆっくり練習は”ゾーン入り"を誘発する手段、

 

シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法』が話題になるような今の時代なので、

 

そのことに、世界も気がついてくれる日が、近々来てくれるのかもしれません。