イマイチな文化交流に終わらないために…その5.
英語での会話といえば…
土曜日の夜に居酒屋で行われた歓迎会で、
安里くんからベースのカデッシュへの質問、
「パノラマのときと、小編成のアンサンブルのときと、叩き方変えてると思うけど、どう変えてるの?」
と、安里くんはきっとテクニック的なことを聞きたかったんだと思うけど、
カデッシュは、
「パノラマの音楽は放射するようにできてる、広がっていくように出来てるから外に意識を向けて叩くけど、小編成のアンサンブルは、音をひとつにするように出来てる、だから音がひとつになるように意識して叩くんだ」と、
テクニック論とも取れなくないけど、ほぼ精神論みたいな、
わたし的には、こんなとこで(場末な居酒屋で笑)名言出ちゃいました!!みたいな、
その受け答えの賢さとブレのなさに驚かされてしまいました。
(二十歳そこそこっすよ、彼らは…)
その言葉はきっとケデッシュ(カデッシュ?)だけの言葉じゃなくて、
トリニダードのパンマンたちは、たぶんそうやって育ってきてるんだと思う。そういうマインドを代々受け継いで育ってきてるからこそ、
スッと、そんなかっこいい言葉が出てきちゃうんだと思う。
かたや、名古屋パンソニードのリーダー、アニ氏の質問、
「最新のソカでグルービーじゃなくて、昔みたいなゴリゴリなソカをパンでやりたいけど、誰のどの曲やったらいいかわからない、オススメを教えてほしい…」
これに答えたミアさんは、
「新しいソカ、パワーソカもアイワージョージみたいなのじゃメロディがなくてパンにはなりにくいから、よーく考えなくちゃダメ」
…、まー、ここまでは模範解答なんだけど、
加えてアニ氏からの質問「メロディがなくても歌詞がわかってたら楽しめるんじゃないの、ソカのリズムで…」に、ミアは、
「歌詞わかってても、意味わからんってことあるよ、アイアンラブとかぜんぜんワケわかんない笑」って言ってて、
おーい、トリニダード人でもわからんのんかーいっ(^_^;)って、めっちゃ突っ込みたくなりました。
たしかに、韻を踏むためだけの歌詞って日本の歌にもあるよ、それってワケわからん、たしかに共感できるなー(笑)って思ったり。
トリニダード・トバゴ人と居酒屋で飲んだくれてなんだかんだハナシするとか、なかなかないでしょう?
だから、これもまた貴重な国際交流の場なんじゃなかろうかと、それに貢献できたいのではなかろうかと、シラフのわたしは客観的に思ったのでした。
(奈良に地震が来るんじゃないかと心配になるくらいどんちゃん騒ぎしてしまいました笑…、スミマセンでした)
イマイチな文化交流に終わらないために…その4.
午後からのイベントスケジュールとして、
地元、奈良県、田原本町の小鼓と能楽を学んでいる子供たちと先生との交流会がありました。
とくにドラムを担当している通称”慎之介”ことトリ二ダード人のラミュエルは、日本の太鼓に興味深々で、
慎之介「これってカタチがそっくりだけど、トーキングドラムに影響されてるんだよね?」
わたし「それはないと思うで、アフリカってめっちゃ遠いもん、言いたいことはわかる、サイズもカタチもそっくりやね…」
慎之介「叩き方がタブラみたい、同じ方法で音を出してるみたいだけど…」
わたし「それは、影響されたかもしれない、昔の日本はインドに影響されてるよ」
とか、リアルタイムで会話しながら伝統文化の紹介を体験できて、「ほー、そういうとこに着目するのね、打楽器専攻の大学生は…」などとあたりまえに感心したりして、わたしにとっても印象深い(通訳おもしろいわーっていう)貴重な体験をさせていただいたなって思います。
能楽を説明してくれた地元の高校生も、小鼓のレクチャーをしてくれた先生も、みなさん英語でスピーチを準備していて、英語の質問にも、ほぼ通訳を介さないで受け答えをされていたことにも感心しました。
昨今、英語のスペシャリストの出番は減って、各分野のスペシャリストが自ら英語を話す時代であることや、
英語を学ぶより、英語で何かを学ぶ時代になっている、
そんなことを日々実感する英語学習者のひとりとして、この取り組みはとても共感できるし親しみが持てるものでした。(英語話者が英語以外を喋られると疑念をいただくっていうか居心地は良くなさそう(ワガママ!)なので、最高のおもてなしだと感じます)
そのあと、UTTパンフェニックスによるスティールパンワークショップには、能楽を披露してくださった子供たちや、トリニダード・トバゴのスティールパンプレイヤーに直接パンを教えてほしい、彼らの手元を間近で観てみたい!っていう参加者さんたちで大盛況でした。
そして、2回目のワークショップもこの調子で…って思ってたら、なんと彼らはオリパラ事務局の別のスケジュール(国宝のなんとか太皷を観に行くツアー…?)に参加するとのことで、
オーノー、2回目は日本人のスタッフだけで仕切らなくてはいけないことになってしまいました。
そしてUTTのメンバーが現場を去ると雨がだんだん強まって、
雨の中、テントの下ののスティールパンワークショップとなってしまったのです。
自分たちがスタッフだったので写真も動画もなく…、またもやワークショップ参加者さんのインスタ動画をお借りしています(^_^;)
こんな雨の中、人が集まってくれるのか心配でしたが、、、
お客さんの呼び込みも、ワークショップも、英語と日本語と両方でできるので、さすが外国人観光客の多い奈良だけあって、日本の方だけじゃなく、いろんな国の参加者さんがスティールパンを体験してくださったのも嬉しかったです。
↑の動画のヒジャブの女性はマレーシアから観光で来られたそうです。
アジアにパンを広めたいけど、日本以外のアジアにパンがなかなか広がっていかないもどかしさを常日頃から感じていたわたしは、日本にいながらにしてもパンをアジアに紹介できる可能性を感じてしまいました(大げさ??笑)
国際交流、文化交流において(流暢でなくてもぜんぜんいいから)、英語で、自分で話すことで交流も深くなる。そんな大切さを学ばせていただ1日でした。
イマイチな文化交流に終わらないために…その3.
そしてイベント当日!
真夜中に、奈良教育大学でのリハーサルで変更された点をまとめた楽譜をパソコンで打って、撮った動画をYouTubeにアップロードするまでをわたしが担当して、
早朝にUTTの大学の先生、ミアゴーマンディさんがわたしの譜面をチェックして、
それを当日の朝、#ASALOGの安里先生がコピーして名古屋、神戸、大阪の参加メンバーに一斉に配布するだけでなく、前日の夜中にリハーサルの要約をまとめた文章をSNSで関係者にもれなく送ってくれたりもして、
素晴らしい”ラストラップ”、トリニダード・トバゴの陸上リレーチーム(実は世界的強豪チーム)もビックリのチームワークぶりを発揮して、
当日朝の、全体練習での混乱を、最小限に抑えることが出来ました。
すみません、出演者だったので写真も動画もぜんぜんなく、観に来てくださった見知らぬ方のインスタをお借りしております… この曲、サヴァンナグラスで小雨の止み、その後しばらく快晴に!!そんな晴れ女(晴れオトコ)ぶりが伝わる演奏です。
心残りなのは、参加してくださった日本のパンマン、パンプレイヤーさんたちが、挨拶もそこそこに、オフステージでUTTメンバーとあんまり交流できてなかったんじゃないかなーっていうこと。みなさんシャイなので、いっしょにお弁当食べたりも出来たのになんとなく離れて食べてたりして、そこは、通訳ボランティアとして参加してるわたしが交流を促すべきだったのかなーと反省しております。が、
ステージの上では、音楽っていう世界共通言語で繋がることができたので、
それはそれで疑う余地のない瞬間だったので、
わざわざ遠くからボランティアで参加してくださった みなさんが、
トリニダード・トバゴのヴァイブスと一体感を、
ギュっと想い出としてそれぞれ持って帰って頂けていればなーと願っています。(今度ぜひ感想やら奇譚なきご意見やらを聞かせてください / UTTサイドも気にしております)
イマイチな文化交流に終わらないために…その2.
イベント本番の前日、奈良教育大学の構内で吹奏楽部のみなさんとの合同リハーサルがありました。
平日の夕方なので学生と関係者のみで行われたのですが、できれば関西でスティールパンをしている人も、可能なら参加しておいたほうがよかったんじゃないかと思う、音楽に対する姿勢を学べ、肌で感じることのできる、素晴らしいリハーサルとなりました。
We are the worldを通すところから始まったのですが、はじまってすぐに、あ…、わたしのもらった楽譜と違うやん…って思って、内心ひとりでサーッっと青ざめてしまいました。
そしたら、わたしだけじゃなくって吹奏楽部の人たちも違う楽譜で練習していたらしく、①こんな速いテンポで演奏すると思ってなかった、②わたしが持ってるのと同じシンコペーションしないテナーのフレーズで練習していたらしく、
さらに、、、練習がすすむにつれて最悪の瞬間が待ち受けていたのです…!!
転調後のキーが違う!!!
ブラスバンド部の部室が一気にスティールパンと吹奏楽との不協和音で満たされてしまいました…
なに??どうゆうこと???
わたしたちは半音上がったEに転調する予定だったのですが、吹奏楽部の人たちは別の調に転調(もしかしたら転調しない楽譜だったのかも…)する楽譜で練習していたようです。
今日、練習に参加できなかった関西と中部のスティールバンドのメンバーも、翌日の本番には一緒に演奏をする予定になっています。
ふつうだったら、日本人だったら、
①今更変えられない
②本番までの時間がない
③予定外のことはリスクが高すぎるから避けるべき
という共通認識で一致して、そちら側に流れていくと思うんです。
つまり、転調しない、しかもテンポもゆっくりでソカのリズムもない、シンコペーションもない、日本でいつもやってる音楽に、トリニダード・トバゴからわざわざ来たゲストにも合わせてもらう。
でも、今回はそうはいかなかった。プロデューサーでくっついてきた渡辺ようさんがそうはさせなかった。
① せっかく交流してソカっていう彼らのリズムでいっしょに音楽を作ろうとしてるのに!と、吹奏楽部の指導者の方を説得して速いテンポに合わせてもらって、
② 吹奏楽部のメロディを吹いてる学生さんたちと、ミアが叩いてるシンコペーションの強いフレージング(日本人には馴染みがないけど彼らはすべてがシンコペーションしたりアンティシペーションしたりする…それにわたしも毎回現地で振り回され悩まされてる…)を耳コピして譜面を手書きで書き直してもらったり、
③転調部分はイチから、お互いに転調しやすいキーをいろいろ試して探すことに…
もしかしたらこれがほんとの国際交流のあるべき姿なのかもしれません、これがベストじゃないけど、これもひとつの方法だと思うんです。お互いの文化を一方的に学び合うだけじゃなくて、
お互いの違いに気づいて、そこから新しいものを練り直し、完成させるっていう、
そのプロセスが体験できただけでも、お互いの楽譜に相違があったことが逆にラッキーだったんじゃないかとさえ思えました。
トリニダード・トバゴ人は”ラストラップ”って言って、土壇場に強い人たちです。最高の演奏をするために最後の最後の最後まで(笑)変更を加える人たちなので、こんなプロセスは日常茶飯事だったでしょうが、
急にいろんな要求をこなさなければいけなくなった学生さんや、柔軟に変更を受け入れてくださった日本人側の指導者のみなさんには本当に感謝です。
更にもう1曲、銀河鉄道999を吹奏楽部のみなさんがソカのリズムで演奏するっていう趣向にもチャレンジして、素晴らしい仕上がりになりました(動画ないのが残念…)
3時間ほどの短いリハーサルでしたが、磨き上げられた最後の通し練習の様子を動画で↓ご紹介しています。(ジンバルなしで携帯であわててとったので最初のほうだいぶ手ブレしてますが…>_<)
We are the world / UTT PAN PHOENIX+NARA UOE brass band
イマイチな文化交流に終わらないために…その1.
オリンピックパラリンピック関連のイベントのために、トリニダード・トバゴの大学生と先生のグループが来日しました。
- 原宿よさこい
- 高知(の中土佐町がトリニダード・トバゴ選手団のホストタウンに選ばれた記念)
- 春日野音楽祭のオープニングゲスト
この3つのイベントで演奏するため、だったのですが、
オリンピック関連のイベントということで、見えないところの国際交流スケジュールがギッシリなのに驚かされました(皇室の訪問とかを彷彿させます…)
まず、ちょっとかわいそうじゃないかなーと思ったのが、1日3食とも日本で食べられるふつーのもので特別に用意された食事じゃ全然ないってこと。イベントに出るふつーの仕出し弁当+お箸(スプーンもフォームもついてない!!)とか、コンビニ弁当とか、レストランで洋食とか食べるときはちょっとトリニ寄りだけどタバスコくらいしか辛いソースはないし、居酒屋の謎な惣菜も食べなくちゃいけない… あの年代のトリニダード人だったらちょっと耐えられないんじゃないかなって思うけど、
すべてがオリンピックの予行演習の役割があって、なるべく特別なことをしないようにしていたそうです。彼らも、国際交流の名目で招待されてるってことをちゃんとわきまえてるのか、誰一人文句も言わずにお箸で器用にご飯を食べてるのがオドロキでした。
今回、はじめて通訳ボランティアで参加させていただいた3日間の様子を、数回に分けてリポートします。
Rock your Socks!染色体って靴下に似てるよね…
3月21日、春分の日(トリニダード・トバゴだと1日遅れの次の日だけど)
オールスターズのインスタに、みんながいろんなバラバラな靴下履いた写真が投稿されていました。
真ん中にいるのは、ダニエルガルストンくん。
あの有名なスティールパンプレイヤー、デーンガルストンの息子さん(デーンは子供が14人もいるらしいから笑 そのひとり)です。
ダニエルは、ダウン症として生まれてきました。
"Unique Not Different" with Shamla Maharaj
さすがデーンの息子、ダウン症とはいえ、スティールパンの腕前は大したものなのです。
オールスターズユースのメンバーとしてジュニアパノラマでも演奏していました。
そして、この写真『Rock your Socks!』は、そんなダニエルを応援するために、3月21日の『世界ダウン症の日』に向けて、オールスターズユースのメンバーを中心に撮影されたようです。
なんで、靴下?と思ったら、
ダウン症の人は、ふつうは2つだけの21番目の染色体が3つあって、
染色体が並んでる顕微鏡の写真が、いろんな靴下が並んでるみたいだから、なのだそうです。
で、なるべくユニークな靴下を履いて、
その写真をSNSなどに投稿して、
ダウン症への理解を深めよう、アピールしていこう!という社会的なアクションなのだそうです。
なんか出遅れちゃったけど、オシャレなことしてくれるなー…
来年はわたしもぜったいコレやりたいです。
日本って”ユニークな靴下”の宝庫だから、Like!がいっぱいもらえる靴下を、今から探しておきたいです。
日常にハチドリがいる!セントアンズのいいところ
今年、はじめてセントアンズに住んでみました。
前からちょっと気になってた山のうえのほうのハイソな暮らし…
わたしが住んでたストリートはすでに、大邸宅だった場所が家主を失って取り壊され、ハイソなコンドミニアムに建て替えがすすんでいるような場所でしたが、
いつも通る他の道だと、邸宅の名前がそのままストリートの名前になってるような、1区画に2軒〜4、5軒しかないようなところも。
山のふもとには総理官邸やヒルトンホテルがあるような場所。
スーパーにお買い物にいくたんびに坂を登って家に帰るのがけっこうたいへんだったけど、
お部屋から見える景色や、洗濯場から眺める裏庭の景色がわたしの人生には珍しい大自然なかんじで、
日本ではぜったい見かけないようなカラフルで南国っぽい鳥さんたちや、こんな暑いところに良く住んでるよなーって不思議だったリスさんたちを、ふだんから良く見かけました。
いちばん驚いたのが、蜜瓶もなにも用意していないふつうの生垣とかで、ふつうに目の高さのすぐそこに、なんの警戒心もないハチドリさんがいたりすること。
ポートオブスペインは他の都市とあんまり変わらないようなけっこうな都会なので、せっかくカリブ海で生活してるのにカリブっぽさを味わえなかった今までの生活とは、ちょっと違うかんじが味わえました。
古い豪邸が立ち並ぶようなところなので、お庭のプールや噴水とか、近所の高価そうな犬さんたちを眺めて楽しむこともできました。
なによりも、
この地区までたどり着けば治安の悪さを感じることがほんとになくて(油断は禁物ですが…)
こんなに山がすぐそばにあるのに、
ダウンタウンにあるオールスターズのパンヤードまでクルマで10分ぐらいで着くんです。
オールスターズのまわりは数歩ごとにホームレスをまたいで歩くような場所、ジョージストリートやネルソンストリートには麻薬の売人や狂人(ゾンビ)たちが夜中に叫びながらウロウロしてるような場所なのに…
もし、デメリットがあるとすれば、
「セントアンズまでクルマで送って」ってお願いしても断られることが多くて(^_^;) お願いもしにくかった(>_<)です。たぶんなんですが、けっこう隔離された場所で横につながる道路もなく、いちいちその地区に入る為だけに山の上まで登ってまた降りるのが面倒なんだと思います。
それともうひとつ、あとから知ったのですが、うちの裏にある森に囲まれたすてきな施設…、なんだろうって思ってたら、”精神科の入院病棟”なんだそうです。
だからと言ってなにか困ったようなことは何ひとつなかったのですが、高級住宅街が別の場所へと移動してるのもなんとなくわかるような気がします。セントアンズは、古くからの高級住宅街ってかんじです。
旅行者が滞在するなら長期でも短期でも、ウッドブルックかニュータウンがいちばん便利ではありますが、
カリブ海的な自然に囲まれてるのに街から近い、
レネゲイヅやオールスターズのパンヤードに意外と近い、
セントアンズは穴場的な滞在先としてオススメです!