トリニダードトバコはコロナ禍を脱したのか…
2023年の1月5日から2月20日まで、2年10ヶ月ぶりにトリニダードトバコに滞在していました。目的はもちろん、パノラマに参加するため。もう帰国したあとになりますが、トリニダードで気づいたことを記録のために少しだけ書いておこうと思います。
トリニダードトバコに戻る前に、私は、日本以外の都市をいくつか巡りました。シンガポール、フィジー、シドニー、そして乗換だけですがホノルルとロサンゼルスも。
シンガポールは、いちおう地下鉄に乗るときにはマスクを付けるように注意されました(2023年1月時点)が、方や名物、ホーカーズでは感染リスク100%の近距離で喋り倒しながらみんな楽しそうに食事していました。その他の都市でマスクをしているヒトは、ほとんどゼロ。日本以外はコロナ禍なんてすっかり過去のハナシなんだと実感していたのですが、トリニダード・トバゴは違いました。もしかしたらポート・オブ・スペインだけかもしれないけれど、大使館まわりや北の上品な住宅地になればなるほど、年配者だけでなくオフィスワーカーもしっかりマスクをしています。トリニダード・トバゴも島国なので、鎖国されると変なところで日本と行動が似てしまうのかもしれません。
パンヤードの練習に来るメンバーは、ほとんどマスクはしていないのですが、年配のプレイヤーで持病があったり、風邪をひいて咳をしているメンバーはマスクをしています。コロナ前は、日本では当たり前の風邪をひいたり花粉の季節はマスクをするという習慣がトリニダードにはありませんでした。マスク以外でも、街中の衛生上の気遣いは、日本のレベルには及びませんが、ものすごく改善されていると感じました。私の住むベルモントの町のゴミ出しの方法も変更になって、前よりはゴミだらけの状況も改善されていると思います。街中のトイレの状況も改善されています。
オールスターズは重要なメンバーをコロナで亡くしてしまったという痛い経験もあるせいか、他のバンドよりも少し保守的で、今まで全員が手を繋いで行っていた毎日のお祈りが、手を繋がなくなりました。最初はものすごく寂しく感じて居心地が悪かったのですが、ある日、愛?集中??の"気"…ヴァイブスを肌に感じて、ああ、あの『スティールパンの惑星』にも出てきた名シーンであるお祈りの場面は、パンデミックを超えてニューノーマルなWi-Fiにヴァージョンアップされたんだなと、そんな気がしてきました。
もし、そうでなくても、そう思うことで新しい世界を受け入れて、前に進んでいこうという気持ちにさせてくれる決定的な変化です。私にとっては手触りも光景も、すでに異次元、違う世界戦に迷い込んだような気分に強制的にさせられる変化でした。
もしかしたら来年にはコロナ禍なんてすっかり忘れて元に戻っているかもしれません。日本と同じように痛手に対して寛容な、喉もと過ぎれば…のような国民性のような気もします。
ともあれ、パンデミックといちばん相性の悪そうなトリニダード・トバゴのカーニバルですが、コロナ禍を超えて無事に復活させてくれたことに本当に感謝しています。
体感では、参加者はかなり減った気はしますが、その分、雑な部分が削ぎ落された、エッセンスが抽出されたパノラマやカーニバルだったような気がします。
良くも悪くも過去には戻らず、コロナ禍を脱して、新しい基準で未来のカーニバルが再創造されることを期待しています。