こるりうちゅう

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文明の波

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たぶん、わたしがはじめてパノラマに参加した当時は、ほとんどのトリニダードのバンドでは楽譜は使われていませんでした。

サポーターのおじさんに、トリニダードでは「楽譜は読まないで、空気を読むんだ。」と、得意げに言われたものでした。

わたしがトリニに来た頃はまだ昔のサバンナスタンド(競馬場の観覧席がそのまま再利用された会場)が残ってて、会場の音響は良くなかったけど、今みたいな仮設(今年はちょっとマシな仮設を建築中)じゃなくて、ちゃんとした建物でした。

2004年は、今では当たり前になった人数別にカテゴリー分けされた最初の年で、

その後、2007年に、会場は取り壊され、サンフェルナンドに会場を移してみたり、1バンドの人数を100人に人数制限してみたり、

そう言えば、彼らにとってはオドロキであろう東洋人がパノラマプレイヤーとして大挙して押し寄せるようになったり(^_^;)

わたしが見て来たこの8年間は、パノラマに関する…たぶん政府の助成金や、演奏人口を巡って、パノラマが崩れながらちょうど移りかわる時期だったのかもしれないなと思います。

トリニダードにも、まだまだ遅ればせながらですがIT革命っぽいものが日本とはちょっとカタチを変えて訪れています。

基本、豊かな国なので、もう当たり前にパソコンもあるしブラックベリー携帯(日本ではまったく普及しませんでしたが(^_^;)アメリカ圏を中心に普及してるスマートフォン)を使いこなしてFacebookとかしてるし、

こんなことも、8年前にはまったくありませんでした。

8年前は、バンドの次の予定がよくわからずに右往左往してたのが、

今や、パノラマの練習が始まる日のお知らせや、セクション練習の連絡までもがFacebookで届くので、とてもわかりやすくて便利になりました。

楽譜をパソコンで作ってアレンジするアレンジャーさんも、アレンジャーの世代交代と共に増えています。

2004年時点では、エクソダスに譜面があるらしい…とゆうウワサ(^_^;)だけが飛び交っていましたが、

今や、ヨハンパプウェルさんや、アンドレホワイトくん、レネゲイヅの新しいアレンジャーさんであるケネフガッピーさん、スターリフトで久々にパノラマのアレンジをするリアムティーグさんも、パソコンであらかじめのアレンジを考えて練習に臨むので、

楽譜を使って練習するワケじゃあないけど、その副産物?として楽譜があります。

練習したいから楽譜ちょうだいって言うと、気軽にプリントアウトしてくれるし、

楽譜読めるんやったら読んでみんなに教えてくれΣ( ̄。 ̄ノ)ノとまで言われる…なんでわたしが?

彼らにとって、別に楽譜を使わないことにこだわりがあるワケじゃあないんだと思います。

古めかしいものより、新しくいいものがあれば、音楽スタイルや道具なんかも含めて、競って使いたいキモチも感じられます。

ただ、読めるヒトは少ない。読めるけどスラスラ読めないから、身体で覚えたほうが早いので、やっぱり楽譜があってもプレイヤーたちはまったく使っていないのが現状です。

楽譜を使わないアレンジャーさんたちは、ほんとうに頭の中の閃きだけでひとりだけでアレンジをしているヒトもいるし、

オールスターズのアレンジャーのスムースさんは、イメージを固めるために、昼間にプレイヤーを何人か集めて、練習が始まる前にあらかじめアレンジを決めておいて、

けれど、それを楽譜に起こすことなく、そのアレンジを受けとったセクションリーダーやプレイヤーの記憶だけを頼りにメンバーたちに伝えられていきます。

なので、そこで記憶違いがあって、そのプレイヤーが良いと思った勘違いフレーズが伝えられてしまったりすると、違う人間を通した新しいフレーズが増幅されて創造されてしまう可能性もあります。

アレンジャーさんたちにとってはその勘違い増幅は避けたいところですが、逆に意外性のある良い効果を、これまでにも生んできているのではないかなと推測されます。

良くも悪くも、楽譜があればそんなことも起こらないし、もし楽譜でアレンジそのものを考えてしまうと、つい4拍子の四角い枠に収めたくなって、スムースさんのような不思議フレーズの数々は生まれなくなってしまうかもしれないとも思えます。

もしかしたらあと数年もすれば、まだ楽譜を作らないで効率の悪い練習してるのか?とかになるかもしれません。

が、わたしにとっては楽譜を使わないし作りもしない、スムースさんみたなやり方がとても貴重です。

とくに他ジャンルの音楽メソッドに見当たらない、ときにすごーく疑問に思うような不思議なことをして、独特の高揚感と浮遊感、そして恍惚感をサラッと作り出しているスムースさんのメソッドが受け継がれないのはもったいなすぎる(>_<)

今、観ておかないと、今、感じておかないと、時間がたてば必ず消えてしまうものだから、もう少しここで、間近でスムースさんの仕事を体験したいんです。

もし、四角い壁で区切られた五線譜を飛び越えて、自由に音楽を創造するスムースさんみたいなメソッドを身につけることができたなら、

わたしは別にそれを、楽譜で表現しても構わないと思う。パノラマの曲には微分変拍子しかないし、楽譜で表現できないものだから楽譜で表現しないわけじゃなくて、必ず楽譜で表現できるデジタルなものだから。

いちばん大切なのは、

音楽の響き渡っている大いなる未知なる空間、創造の源…みたいなところから、今、表現したい音楽をダウンロードして数学的に組み立てる能力ってことではなかろうかと、

スムースさんを日々眺めながら、ぼんやり思ったりしています。

そんなオールスターズにも、ちょっとした文明の波が訪れています(^_^;)!

昼間に作ったアレンジを、iPodで録音しているのです(^_^)

これで、スムースさんの作った音楽は、100%プレイヤーたちに伝達されるはず…ですが(^_^;)

やっぱり勘違いフレーズたちは、日々増殖し続けています。やれやれ…

トリニダードのパンシーンに内なる文明の波が訪れるのは、良くも悪くもまだまだ先かもしれません。

写真は、ファイリングした楽譜を、片手に指導するレネゲイヅのアレンジャーさん。