Andy Neils in Japan!!!(その2)
次の日、まずはパンプルヤード"雷神"にて楽器のメンテナンス。
今まで、そう言えばアンディがまともに仕事してるのは見たことなかった。
トリニだと、アンディのオフィスの奥の冷房ガンガンの狭い部屋でチューニングしてるか、パンヤードに来るとアンディの担当はだいたい高音パートでバックヤードで仕事する。チューナーカミん!ってオフィサーのおじさんに注意されて、うちらプレイヤーは練習を中断するか、ちょっと隔離されて練習させられるかどっちかなので、この日、はじめてこんなまじまじと最初から最後までチューニングを見学しました。
仕事を始めるとすぐに、アンディは神様に変身してた。さっきまでのエロおやじ(たいへん失礼^^;)はどこに?
スゴい集中力でずんずん楽器の響きを整えてゆく。
チューニングしてるときのハンマーのリズムも、ピッチを上げてゆくのも下げてゆくのも音楽的で、さながら現代音楽的に聴こえるのが面白い。アンディは元プレイヤーだからだろうか…。今までも、オールスターズに来てるチューナーさんの仕事は見てきたけど、アンディのは特徴あると思う。アンディを知ってるだけに、この仕事ぶりもアンディらしいなと思いました。
あらためて思うけど、わたしたちプレイヤーは、こうやって楽器を作ったりメンテナンスしたりするヒトがいないと何ひとつとして表現できない。
チューナーがいなければ、1音も出せないし、もちろん感動なんて生み出せない。すべては彼らから、わたしたちの音楽は始まってるんだ。当たり前のことなんだけど、こんなことでもないと気づけなかった。
こうやってメンテナンスする当たり前のことをもう何年もまともにやってなくて、いつもとぜんぜん違う聴診器みたいなハンマーできゅんきゅん叩かれてる楽器達を眺めながら、ようやくお医者さんに辿りつけたみたいな安堵感がありました。
しかし!ほんとうにこの価値がわかったのは翌々日のパンプルの練習でのこと。
『くじら12号』のイントロを、ジャン!って鳴らした瞬間!!えっ?あれ?なに??音がぜんぜん違うやん…音がひとつってゆうかタイトってゆうか透明ってゆうか…
あまりにも驚きと感動を分かち合いたくって、メンバーには申し訳ないけど8小節くらいで演奏中断。「この音スゴくない?」って聴いたらみんな当然のことながら気づいてたみたい。うまく言葉にできない感動を口々にしていました。
ひとりのチューナーが、ひとつに響きを整えるって、スゴいことなんだ。わたしがトリニで聴いてきたあの『究極の調和』それを錯覚するほど近づける可能性を充分に感じたのでした。
チューニングDAY初日午後3時過ぎ、時差ボケでネムネムのアンディを乗せたクルマはゲリラ豪雨の中、神戸のファンタスティックスヤードに。クルマでイビキかきながら爆睡するアンディは、またふつーのトリニおやじ(笑)に戻ってしまっていたのでした…。