天国への待合室
カラナージさんが亡くなって、
よくわからないけど、いつも入口に座ってたドクターもいなくなってる。
ドクターはいつもカナダから避寒に来てるヒトだから、みんなどうなった
かは知らないんだけど。
パンヤードにはたくさんのお年寄りが座って時を過ごしてる。
いつもおんなじお年寄りかと思ってたけど、
私が知らないあいだに、ここにいるヒトたちは、順番にいなくなってるん
だ。
そう考えるとちょっと悲しくなったけど、
天国に召される前には最高の場所なんじゃないかとも思った。
奥の部屋では昼間、
アレンジャーのスムースさんが
神の声を聴くように新しい音楽を生み出してる神聖な場所
(ただの冷房ガンガンの楽器庫だけど)があって、
ヤードでは、昼間から子供たちの元気なパンの練習、
夜はオールスターズのキラキラの大音量で、
身体の芯まで倍音の温泉みたいに満たされる。
オールスターズのパンヤードは、
通称"ヘルヤード(地獄のヤード)"って呼ばれてるけ
ど、
ほんとは、
神様の気まぐれでしか決まらない天国行きの順番を待ってもらうための、
天国が設置した、
天国への待合室なんじゃないかなって思った。
日本でも、音楽団体と老人施設が共存してるとことかあるのかなぁ、
日本にも欲しいな、
日本にも必要だと思う。