スモールバンドにチャンスがキタ!アーリーパノラマ2020
スモールバンドがめちゃくちゃアツかった。
パノラマの日程が大幅に変更になって、シングルパンは11月に、スモールは1月に前倒しになって、ラージバンドの練習が本格的に始まる前にファイナルを迎える日程に変更になったことが大きく影響して、
各バンド、ラージバンドで活躍している強力なメンバーを揃えてきて、更に、既存のバンドだと既存メンバーを差し置いて新体制を作りにくいことから、最近、ほとどんど活動していなかったような名前だけのチームに、新しいスポンサーや新しいアレンジャーを迎えて、
いくつものバンドが少人数精鋭の実質にわかバンドを立ち上げて、パノラマで勝つための革新的なアイディアをそれぞれがぶちかましにキタ、今までまったく観たことのないスモールバンドのパノラマになりました。
だから、今までも素晴らしかった既存のスモールバンド、ゴールデンハンズ、ラホケタ、去年革命を起こしたディフェンスフォースまでもが、今までと同じくらい素晴らしいんだけど、今までと同じだったから、にわかバンドやトバゴバンドに比べるとすごく聴き劣りしてしまう印象でした。
日程を前倒しにすることによって、全体的にヴァージョンアップすることに成功したのです。
この状況がずっと続くなら、スモールバンドはラージやミディアムの影でひっそりかわいく行われるような大会では、もうなくなっていくんじゃないかと思います。
去年、ディフェンスフォースだけが、スモールバンドとは思えないようなど迫力の重低音を編成を工夫することによって作り上げることに成功したのを、
今年は、他のバンドも真似して中低音のパートを増やし(その分フロントラインの人数は減るけれどもパワープレイヤーを入れて補って)や音圧重視の編成に変えてきていました。パンだけでなく、スラップベースや、↑の写真にあるようなインド系の大太鼓を幾つもならべてブンバンっ、ブンバンっ、ってい、生で聴かないと伝わらない圧倒的な音圧を作ることにそれぞれが果敢にチャレンジしている印象でした。
だから、音に迫力がなかったバンドが軒並みセミファイナルで敗退しています。
逆に、少人数精鋭だからこそ、
・微妙なテンポチェンジやスリリングなトリッキーフレーズも比較的まとまりやすい
・いい楽器を揃えてるかそうでないかの差がハッキリする
・ドリルができているかできていないかも誤魔化しが効かない
こういう今までにあったスモールバンドの特徴をも活かしつつ、
ラージっぽい音圧と、王者(デュボンスチワート)に立ち向かうカーニバルスピリットで会場をドッカーんと沸かせたトバゴのバンド、アップタウンファーシネーターズが、誰もが納得する圧巻の優勝となりました。
01- Uptown Fascinators Steel Orchestra - Small Bands Panorama Finals 2020
うん、今、↑の動画を見返しても、ぜんぶ入ってる、ラーメンの、小盛りだけどトッピングはぜんぶ乗せみたいな…、もう大満足すぎる。
他にも、わたしが注目したバンドのひとつ、↓アリマゴールデンシンフォニー。
このバンドはスモールファイナルの常連さんで、アレンジャーさんもシングルパンやスモールで活躍しているベテラン、テレンスBJマーシェルが手がけているんですが、
ファイナルのステージなのに、なぜか全員が私服!?衣装どうしたの???間に合わなかったの???
タイトルが『マッドネス』なので、なんかキテレツなことをしてくれてます。YouTubeの動画が見つけられなかったので、わたしがぺちゃくちゃ喋りながら生配信した映像を仮で↓貼り付けておくので、私服って逆に新しい!?って思わせる光景と、素晴らしくまとまった美しいサウンドのあとなのに、なぜか繰り広げられるどんちゃん騒ぎを、ぜひご覧ください。
もうひとつ、というか二つですが、ラージバンドのアレンジャーさんが手がけたバンドが、ほぼラージバンドのちっちゃい版と化していることにも注目しました。
(ラージバンドのアレンジャーさんが手がけているディフェンスフォースが、ちっちゃいレネゲイヅかというと、これはぜんぜん違うので例外とします)
ひとつは、ジェネシス。そしてハーバードハープス。
どちらも、わたしが知ってるのはパノラマに予選で敗退するような弱小バンドのイメージだけです。古くて、パンヤードと、楽器だけ残ってるけど、メンバーが高齢化してヴァイブスを失っているようなバンドがトリニダードには、すでにたくさんあります。(今はミディアムの強豪、シェザンドもかつてはそうでした)
どちらのバンドも、それぞれのアレンジャーさんがラージバンドでやってるのとおんなじテイストを半分以下の人数のスモールバンドで再現できています。
スモールバンドがみんなラージのコピーみたいになったら面白くないかもしれないけど、スモールバンドでラージみたいなのが観れたら、いろんな可能性が今後、生まれてくるんじゃないかと思います。
ハーバードハープスがファイナルのステージで観せた、精巧にできたガラス細工のような7分間は、今年のファイナルバンドの中で、いちばん美しい音でした。
ジェネシス、ハーバードハープス共に、わたしがセミファイナルのときに生配信した映像の後半に、ドラッグエリアのスタンバイの様子が映っています。
裏パノラマをリアルタイムでお届けしたい!をテーマに当日、生配信した動画のダイジェスト版でまとめた映像↓があるので、ぜひご覧ください。