こるりうちゅう

こるりん べるりん こるりうちゅう むちゅう♪ ばんちょう やおちょう すてぃーるぱん ピザぱん♪

動画で綴るエドウィンアレンジメント

先月、3月21日、アレンジャーのエドウィンプッシャートさんが亡くなられました。

たぶん50代の後半で、まだまだ亡くなるような年齢ではなかったのですが、2年前に心臓手術をして、今年はパノラマでのアレンジをリアムティーグさんにバトンタッチして病気療養に専念されていらっしゃいました。

わたしがエドウィンさんのアレンジをパノラマで叩いたのは2006年、シルバースターズに参加した1回だけだったのですが、シルバースターズには毎年多くの日本人が参加していたこともあってしょっちゅうヤードには通っていたので、わたしもメンバーでもないのにバンドTシャツをエドウィンさんからいただいたり、ピザをごちそうしてもらったり(^_^)…

とても地味で無口なかんじでちょっと皮肉っぽいキャラの方(^_^)でしたが、いつも優しくしていただきました。

エドウィンさんがアレンジャーとして主に活動していたシルバースターズは、発足からして白人のスティールバンドとゆう特性と、独自のアレンジで新しくて他に真似のできないスタイルを貫いていたので、トリニのコアなスティールパンファンのおじさんとかから批判を受けることも多かったのですが、

わたしは個人的にもエドウィンさんのファンなので、そんな話題になるたんびに「わたしたち(外国人)にはフレッシュに聴こえるよ、ヤングプレイヤーもこうゆうのがスキだと思うよー」って答えてきました。

↑の動画はエドウィンさんのアレンジじゃないかもしれないけど、エドウィンさんは若かりし頃はアメリカのディズニーランドのエンターティナーとしてお仕事をされていたこともあって、基本、アレンジがディズニーランドっぽいんです。ワクワクドキドキ、スリル満点でワーってシアワセになって、聴いたあとにスカっとする!楽しい時間を過ごすための仕掛けやコツを使いこなせるウィザードだったと思います。アートの世界に例えるとヒロヤマガタっぽい。たしかにどのアレンジもおんなじように聴こえるんです(ごめんなさい(>_<)…笑)でも、よーく聴くと細かいところがいろいろ違っていてそれぞれのシーンがすごく楽しい!!ほんとに功名なんです。その世界にハマってしまうと次の作品を聴くのが待ち遠しくなってしまう存在でもあったのですが…。

エドウィンさんのアレンジでひとつだけ選ぶとしたら2007年パン in the 21stセンチュリーのこの曲、オペラ座の怪人。ほんとは2007年のときの映像をご紹介したかったのですがYouTubeには上がっていないようで残念です。シルバースターズのエドウィンボーイズ(とわたしが勝手に名付けていたイケメンプレイヤーたち)がマントにマスク姿で熱演するこの曲は、じつはシルバースターズのいちばん円熟していた時代のはじまりだったと思います。表現力のあるプレイヤーに慕われて、エドウィンさんのエンターティナーとしての本領が一気に開花した作品だったと思います。

エドウィンさんのパノラマアレンジも、その次の年2008年から急速に変化しはじめました。いつもと違うサンフェルナンドの会場で行われたパノラマファイナルで、自分の演奏を終えて他の日本人プレイヤーとだらだら喋りながらシルバースターズの本番の演奏を待っていたわたしは、このオープニングの音を聴いて、マジで事故が起きたんだ!と勘違いしたくらいです。それまでミディアムバンドだったシルバースターズがラージになる!?なんて…それも驚きでしたが、この最初の音にビクンッと跳ね上がってしまうほど驚かされたのです。ドネルトーマス(激しく指揮しているヒトです)とゆうバンドを牽引するに力を新たに得て、エドウィンさんのアレンジが急速に絞られるように磨かれて行った時期でした。

そして2009年、パノラマで初優勝。今までのエドウィンさんアレンジの特徴を活かして、今までより短い楽節でコンパクトに収められ、いろんな要素がめくるめく変化していく究極のエドウィンアレンジに昇華されています。エドウィンさんのパノラマアレンジではこれが最高傑作と言えるでしょう。エドウィンさんのお葬式の様子を新聞記事で読みましたが、メンバーがこのときのパノラマの衣装を着てお見送りをしていました。シルバースターズがフェイズIIやエクソダスなどファブ5とも呼ばれるチャンピオンバンドを差し置いてラージカテゴリーで優勝するなんて、わたしがトリニに行き始めた頃には考えられないことでした。その可能性を信じていたのはたぶんシルバースターズの一部のメンバーだけだったでしょう。そんなこと口にするだけで嘲笑されてしまうような大きすぎるメンバーの夢を、エドウィンさんはそのアレンジの力によって叶えてくれたのです。シルバースターズのメンバーにとってその功績と偉大さは計り知れないものでしょう。この最高の瞬間に身にまとっていた衣装で彼を見送りたい、その想いに詰まった様々な感情はひと言ではとても言い表せないものだと思います。

エドウィンさんのアレンジはパノラマ最後のアレンジになる2013年まで変わらずこのハイパーエドウィンアレンジ路線を磨き続けたのですが、昔ながらのエドウィンアレンジもミディアムバンドのアレンジ↑に引き継がれて行きました。いちばん上の動画↑わたしやパンプルのメンバーが参加していた2006年のハイオンデパンも同じようなかんじなのですが、これが、いちばんエドウィンさんがエドウィンさんらしいアレンジだった時代のデフォルトとも言えると思います。

エドウィンさんは、パノラマチューンの元曲であるパンカイソとゆうジャンルの作曲者としても活躍されていました。アレンジャー自身が元曲も作曲するとゆうことも、わたしがトリニダードに通いはじめた10年前はほとんどありませんでしたが、ブグジーシャープとエドウィンさんは早くから自分で作曲した曲を自分でアレンジしてパノラマで演奏していました。エドウィンさんの曲がブグジーさんと違うのは、他のバンドのアレンジャーさんたちからも好んで選ばれていたところです。↑シルバースターズからオールスターズに移ったわたしも、オールスターズでエドウィンさんの曲を演奏しました。キャッチーでパノラマっぽく変化させていける要素を詰め込んだエドウィンさんのメロディは、アレンジしやすいイケてるパノラマチューンとして重宝されたのです。体調が良くないとは聞いていましたが、パンカイソの作曲者としてなら少しずつ復帰できるんじゃないかとも思っていたのですが、ほんとうに残念です。

アレンジャーとして、作曲者としての活躍と、ディズニーランドのエンターティナーとして世界にスティールパンをアピールした功績、若くて才能のあるプレイヤーを上手に使って自分の持ち味も失わずに成功を収めることができた、日本だったらインターネットの投票で”理想の上司”に選ばれていたかもしれないリーダーとしての存在も、すべてにおいて彼の存在を失うには早過ぎます。

あー、このアレンジってエドウィンさんっぽいなーってゆうアレンジをするアレンジャーさんは、ジュニアパノラマやシングルパンの若手アレンジャーたちの作品を聴いていても、まだわたしには見つけられていません。それだけとても特徴的な独自路線だったとも言えるのですが、

せっかくエドウィンさんが生涯をかけて、このスティールバンドの世界を舞台に可能性を押し広げて繰り広げてきた”スリリングな楽しさ”とゆうスタイルを、これからも失われることなく、彼の音楽で育ってきただれかにいつか引き継がれることを心から願っています。